管理者
区分所有法上の管理者として活動しています。

(関連条文)

第25条(管理者の選任及び解任)
 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によつて、管理者を選任し、又は解任することができる。
2 管理者に不正な行為その他その職務を行うに適しない事情があるときは、各区分所有者は、その解任を裁判所に請求することができる。

管理組合が無い、または機能出来ていないマンションをイチから形づくる

  1. 設立総会を開催する
  2. 管理者を選任する
  3. 管理規約(案)や収支予算(案)を作成し、臨時総会を開催する
  4. 管理会社を選定する(予算が無ければ事務管理業務のみ委託する)

何もないところから組み上げていくのは、大変骨の折れる仕事ですが、管理業界では珍しいクリエイティブな作業だと思っています。

ただし、マンション竣工後、数年から数十年経過している状態から、設立総会をしようにも、区分所有者の住所や氏名等の調査から入らなければいけません。

また、組合の予算が許せば管理会社に事務管理業務だけでなく、理事会・総会の支援業務や設備点検等の業務委託をし、管理会社と協力し合いながら管理組合の運営をしていくという事になります。

管理者管理方式の運営

理事会方式とは異なり、区分所有者から数名の役員を選出したりはしません。ただし、監事1名だけは区分所有者から選出をするように規約で定めます。

区分所有法上は、管理組合法人であれば必ず監事を置かなければいけませんが、「法人成り」していなければ、法律上は不要です。しかし、監事には監査権原や集会の招集権原も与えられております。管理者の業務を随時チェックし、暴走を止める機能としてかならず設置すべきだと考えています。

(関連条文)

第50条(監事)
 管理組合法人には、監事を置かなければならない。
2 監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼ねてはならない。
3 監事の職務は、次のとおりとする。
 一 管理組合法人の財産の状況を監査すること。
 二 理事の業務の執行の状況を監査すること。
 三 財産の状況又は業務の執行について、法令若しくは規約に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告すること。
 四 全号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること。
4 第二十五条、第四十九条第六項及び第七項並びに前条の規定は、監事に準用する。

マンション管理士の仕事として

区分所有法上、管理者も監事も就任要件として、「組合員のうちから」などと限定していません。なので、管理者も監事も、だれでもなる事が出来ます。

ただし、国交省作成のマンション標準管理規約第35条(役員)2項には、「組合員のうちから総会で選任する」とありますので、標準管理規約を採用し、すでに規約で定められているマンションの場合には、「組合員のうちから」と、このように文言を削除する必要があります。

さて、ふと足元を見ますと今秋から、ますます東京都条例でマンションの管理状況の届出を義務化する動きが加速しているのがわかります。

東京都のマンションの適正管理促進に関する検討会は12日に開いた会合で、分譲マンションの適正な管理につなげるための「制度の基本的な枠組み案」をまとめた。制度の条例化によって行政や管理組合、事業者などの責務・役割を明確化するとともに、管理組合などに5年ごとに管理状況などの届け出を義務付ける。9月下旬に都民意見の反映手続きを開始し、年度内に制度を固める。(2018.9.13 建通新聞)

マンション管理士は、行政の施策と連携しながら業務をおこなっていく場面が増えてくるものと思っています。その結果、これまで管理不全であったマンションが浮かび上がってくると思われ、「区分所有法上の管理者」としてのニーズが一層高まっていくのではないかと考えています。