築年数の経ったマンションで、分譲当時のままの管理規約を使っている場合や全面改正などをしていない場合に、旧区分所有法の規定を根拠とするものが、規約に採用されていることがあります。

第二十四条 規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者全員の書面による合意によつてする。

2 一部の区分所有者のみの共用に供されるべき共用部分に関する規約の設定、変更又は廃止は、それらの区分所有者のみの書面による合意によつてすることができる。この場合において、他の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

3 第一項及び前項前段の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

旧区分所有法(公布:昭和37.4.4 施行:昭和38.4.1)より抜粋

たとえば上記旧法から、規約の変更に「全員の合意」が必要とされているといった条文が、古いマンション管理規約のなかに見受けられるのです。

現行の区分所有法では「区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によつてする」(法31条)とされており、旧法24条3項「規約で別段の定めをすることを妨げない」が削除されています。(昭和58年改正にて)

つまり、厳格に4分の3を守る必要があり、決議要件を厳しくしたり緩和したりすることも出来ないとされています。

(規約に関する経過措置)

第9条 この法律の施行の際現に効力を有する規約は、新法第三十一条又は新法第六十六条において準用する新法第三十一条第一項及び新法第六十八条の規定により定められたものとみなす。

2 前項の規約で定められた事項で新法に抵触するものは、この法律の施行の日からその効力を失う。

附則(昭和五八年五月二一日法律第五一号) 抄より抜粋

昭和58年改正区分法の施行日は、昭和59年1月1日なので、規約改正に全員の同意を定めていても、この日を境に効力を失っていると理解できます。

ただし、他にも旧法を根拠とした規約(共用部分の変更や集会4/1請求権など)が存在しており、これら規約の定めに関しては、現行法に沿って改正しておかなければ、そのまま適用される可能性があるので注意が必要です。