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私が思うマンション管理士とは、建物の物理的劣化や設備の機能的劣化を回復させるハード面の施策と、管理組合の運営に関するソフト面のサポート、それと管理会社をはじめ各業者との折衝や交渉をする職業だと思っています。

業務を細かくしていけば、他にも調査業務や会計業務、法務に関する業務などがあり、それぞれ得意とする分野や、他の国家資格や民間資格を併せ持ったマンション管理士が存在します。

  • マンション管理士 + 一級建築士
  • マンション管理士 + 行政書士
  • マンション管理士 + ファイナンシャルプランナー

などの組み合わせがおもな例です。

マンション管理士は名称独占資格なので、むしろ別のスキルを有しており、それを管理組合向けに際立たせるための冠資格といえるかも知れません。

また管理組合運営の業務は多岐にわたるので、複数資格を保有し、少なくとも建築・会計・法務の知識と組合運営の実務経験が無ければ、コンサルタントとしての仕事をするのは難しいと思います。

マンション管理士試験は国家資格の試験

マンション管理士試験

毎年11月の最終日曜日に開催される国家資格試験です。
試験主体は国土交通大臣で、公益財団法人マンション管理センターが試験機関となっています。

書店の資格試験コーナーに行けば、宅建士資格の隣あたりに試験問題集や関連テキストなどの書籍が並んでいます。受験資格に年齢や学歴、実務経験が必要ないので、だれでも受験することができます。

合格率は7~9%を推移し、昨年度(平成29年度)は約15,000人の受験者となり、毎年毎年、受験者は減り続けています。

なぜ受験者が減っているのか?その理由は何なのか?公表データーの数字を追いながら考察していくことにします。

「マンション管理士の業務についてのアンケート調査結果の概要」

上記は、(公財)マンション管理センターが平成30年6月に公表した、アンケート結果です。

アンケートに協力した約5,500人のマンション管理士のうち、専業としている方はたったの4.6%でした。平成27年度末の登録者約23,000人で換算すると、約1,000人が専業としている計算です。

マンション管理士の年間売上は?

有資格者の半数以上が、マンション管理業の社員、その他会社員、公務員などで占められており、独立したコンサルタントとして活動する人が少ないのは、おそらく収入面の要素が大きいと思います。

<アンケート調査による専業回答者の過去1年間の売上高>

売上高/年間 割合
2000万円以上 3.0%
1000万円以上 2000万円未満 2.3%
700万円以上 1000万円未満 3.3%
400万円以上 700万円未満 10.2%
18.8%

専業者約1000人のうち、400万円以上の売上を確保しているマンション管理士が18.8%しかいません。専業として生計を立てていく事が難しい現実があります。
(2000万円以上売り上げる方がおられるのも驚きですが)

もともと知名度が低く、資格を取得すれば食べていける、という現状でもないため、受験者が減り続けているのではないかと思います。

マンション管理士の年齢構成を見ても、60歳以上の方が70%を超えており、若手のコンサルタントが少ない現状です。自分たちが良い仕事をたくさんして認知度を高め、収入を上げて若い方がマンション管理士を志すようにならなければいけません。