Angry woman calling insurance for water leaks sitting on a couch in the living room at home

管理会社勤務時代、大雨時には管理棟で漏水事故が起きないか常に心配していました。梅雨時から台風シーズンの到来は特に心配していましたが、近年では突発的に雨・風の強い日が通年をとおして発生しているため、なかなか気が休まりませんでした。

フロントマン時代は、建物の防水性を確保するため、屋上防水の更新やサッシ廻り・外壁目地のシーリング打替え提案などをおこない、設備面では給排水管の劣化診断や更生・更新工事の提案をおこなうなど、漏水原因となる要因を少しでも減らしていくことが担当者としての役割だと思い、仕事をしていました。

ただ、どんなに建物外側から雨水の侵入を防いだり、共用設備面の更新等をおこなっても、居室(専有部内)から、人的要因による漏水事故については、担当フロントや管理組合では防ぎようがなく、一定の割合で発生してしまうものです。

居室(専有部内)からの人的要因とは?

  1. うっかり室内で大量の水をこぼしてしまった。
  2. 洗濯機排水詰りによる溢水
  3. トイレ詰りによる溢水
  4. 専有部内の給排水・給湯管の老朽化による漏水
  5. 電気温水器やガス給湯器の老朽化による漏水

などが代表的な事例です。

漏水被害を受けた方から第一報を受けた時、漏水原因の把握とその対処について、スピーディーな動きが担当フロントには求められます。なぜならこんな時のための管理会社であるからであり、深夜でも休日でも、解決力が求められているからです。

なお、少しでも動きが遅ければ、上記画像の女性のように怒らせてしまう事は必至です。

漏水事故発生からの動き

  1. 専有部内での落水箇所の把握(水回りか?)※上階も同構造であることが圧倒的に多いため
  2. 上階宅調査のアポイント取付け、漏水調査業者の派遣(仮処置して被害拡大を防ぐ)
  3. 管理組合(理事長)、保険会社への事故報告
  4. 漏水原因箇所が専有部分か共用部分かを特定
  5. 修繕
  6. 被害宅状況確認
  7. 保険申請(2の漏水調査費用と居住者過失の場合は個人賠償特約を適用)
  8. 被害者宅復旧と保険書類の署名・捺印関係
  9. 理事会に対応報告

おおまかに書き出しても上記のような対応が必要となり、どんなに迅速におこなっても1ヶ月はかかってしまいます。その間、被害宅となってしまった組合員や居住者には、マメに進捗状況を説明するなどのケアーも必要となってくるため、ひとつの漏水事故に対して、担当者の仕事量が一気に増えることになります。

良い管理会社とは?

フロント担当者は、理事会や総会の準備・運営補助をおこなうだけでなく、日常的な事務処理や問合わせ対応、漏水などの事故対応をおこなっています。ひとりの担当者が10~15物件を担当している場合、突発的な漏水事故が増えるほど業務がまわらなくなってしまい、管理組合に対して良い仕事ができなくなってしまいがちです。

良い管理会社とは、組織的に対応できる体制を構築していることに尽きると思います。夜間・休日も含めて、すべてフロント担当者に丸投げをしているような体制ではいけないし、管理組合も良いサービスを受けられないことになります。(責任感と気力・耐力のあるフロントマンも一定数存在していますが)

人手不足の時代に、これからどのようにマンション管理をおこなっていくのか、業界動向も注視しつつ、マンション管理士のポジションについても考えていきたいと思っています。