分譲マンションに住んだら必ず管理費が発生します。設備メンテナンス代や清掃費用、建物修繕費用、共用照明やポンプ、エレベーターなどを動かす電気代などの費用がかかるからです。

管理会社に管理委託をしているマンションの場合、管理費を集め、支払いを代行してもらい、未収者に督促をしてもらうなどの事務管理業務費用が別途かかります。さらに理事会や総会の支援業務、設備点検費用、管理人派遣費用を盛り込んだ「総合管理型」で契約をすることが多いと思います。

温泉設備を有するリゾートマンションや、コンシェルジュ・24H勤務の防災センターがあるタワーマンションなどの場合は、かかる費用が管理費としてさらに計上されます。

自主管理マンションの場合、管理組合役員で出納業務・点検業務・維持修繕業務などを分担しておこなう必要がありますが、自分たちで業務をする分、管理費は安くなります。(ただし、役員報酬を設定する場合もあると思います。)

まとめると、管理費とはマンションの特性や事情といった基礎部分に、組合員の求めるサービスレベルによって積み上げられた総経費を戸別にしたものの月額費用と言えます。

マンションの管理費を安くできる?

年1回、必ず開催する通常総会に「管理費改定の件」として議案をあげて、総会で承認されれば安くできます。ただし事前に、組合の収支決算をよく確認しなければいけません。通常総会には、区分法43条で規定する管理者の事務報告として、収支決算報告の議案をあげる必要があるので、ここでまず収支バランスをチェックします。

当然、管理費会計が赤字では組合運営が出来なくなりますので、増税や建物経年による小修繕費増などのコスト増なども考慮しつつ、サービスレベルの低下で組合員や住民の不満とならないように、コスト削減に取り組むことになります。

具体的には、理事会で管理費を安く抑えるための施策を検討し、議事録やアンケートなどで組合員全員に周知をしながら総会の議案上程を目指すのが一般的で、このためにマンション管理士に助言を求めるという事例も多いと思います。

国交省オープンデーターを確認する

平成25年度マンション総合調査結果(概要編)

データー編:管理組合向け調査の結果(3)

管理費総額の平均(駐車場施設あり)
単棟型:15,970円 団地型:13,134円

(㎡単価の平均)
単棟型:222円 団地型:176円

平均値として参考程度に抑えておく必要があると思いますが、マンションの特性や得たいサービスレベルの把握がとりわけ大事になってきます。

そのうえで、各種業者の見直しや、契約先の変更を検討しながら、次年度の組合会計予算を考えていきます。収支予算案の作成が理事会に課せられた業務でありますが、一般的には予算素案を管理会社が作成し、理事会でなんとなく目を通し、そのまま通常総会の議案にあげるというパターンが多いのではないでしょうか。(基本的には前年と同程度の予算組みになっているかと思います)

コスト削減に取り組むことは、非常にエネルギーを使うので1年ごとの輪番役員で成し遂げるには、なかなか難しい現実があります。

しかし、近年では人件費の高騰や社会保険加入義務による管理会社側の経費上昇で、管理委託費の値上げをお願いされたり、消費税の増税や電気代の値上がり、建物経年による修繕費増など、これまでの管理費では間に合わないことが容易に想像されます。

少なくとも消費税10%への増税で、管理費会計が単年度収支で赤字にならないような対策を早めにすることを推奨しております。