消防法8条では、一定規模以上の事業所の管理について権限を有する者は防火管理者を選任し、消防計画を作成させ、この計画に基づいて消火、通報及び避難訓練を実施しなければならない旨が規定されています。
マンションにおいては収容人員50人以上で、防火管理者の選任が必要になります。
※1階に飲食店などの店舗が入っているような複合マンションの場合は、収容人員が30人以上となります。
つまり中規模以上のマンションにおいては、防火管理者の選任が必要になり、消火訓練および避難訓練を年2回以上実施しなければなりません。消防計画にマンションの自衛消防活動をおこなう組織を定め、「自衛消防隊長」「通報班」「消火班」「救護班」のように、あらかじめ役割を決めて、いざという時に備えることが重要になってきます。
マンション自衛消防活動の要領
Ⅰ.火災の発見
火災を発見するための方法には、自動火災報知設備等の作動による機械的感知と、マンション居住者による人為的発見があります。
(1)自動火災報知設備等の作動による発見の場合
- 受信機(一般的には管理室内に設置)で点灯している区域(例えば4階)を確認し、現場へ急行します。なお、警備会社と契約している場合、火報警報が自動的に送信されるのが一般的です。消防署への通報も自動でおこなう為には、「火災通報装置」を備えておく事が必要ですが、多くのマンションには付いていないと思います。
- 現場に急行する際は、消火器、懐中電灯、マスターキー、自火報設備の送受話器等を携行します。
- 現場確認者は、送受話器や携帯電話などの連絡装置を利用して、確認結果を防災センターまたは防火管理者、理事長あるいは管理会社に報告します。
(2)人為的に発見した場合
- 大声で周囲に火災発生を知らせるとともに非常ベルのボタンを押し、自衛消防隊または119番通報します。
ボタンを押すとジリリリリリと力強く鳴動し、異常事態を発信します。
Ⅱ.通報連絡
- 事故の種別(火災または救急)
- 所在地
- 建物の名称
- 火災の状況(出火位置、何が燃えているのか等)
Ⅲ.初期消火
消火器による初期消火は、火災の初期段階では有効ですが、炎が天井に達するような状況になると、一般的に消火が困難になります。屋内消火栓設備については、やや大きくなった火災にも有効です。※屋内消火栓設備の設置基準は、階層や構造、面積によります。
Ⅳ.避難
- 非常放送または携帯用拡声器で避難呼びかけ
- 避難指示の際は、エレベーターを使用しないことを伝える
- 誘導員は、出火階および直上階を最優先に通路角、階段口等に配置。避難路に誘導員を適切に配置し、混乱が生じないようにする。
- 避難階の階段出入口扉を開放する
Ⅴ.安全防護措置
- 防火戸の閉鎖
- 空調設備の停止および排煙設備の活用(状況によって火煙を拡大させるおそれがある場合は、排煙口の開放を中止)
- エレベーター運転の停止
以上、火災を想定した避難訓練をおこなう事が重要であると思います。特に設備の使い方を事前に把握し、避難経路と人員配置、鍵や必要な道具など組合内で自衛消防組織を編成しておき、準備しておくことが大切です。警備会社や管理会社、消防隊が駆け付けるまでの間に、住民によるアクションが生死をわけると思います。
- 投稿タグ
- 消防訓練、マンション自衛消防活動