写真①
水道水を水源とし、有効容量が10㎥を超える「受水槽」を使用して、飲料や生活に必要な水を供給する水道のことを言います。
具体的には、マンションやビルなどでFRP受水槽(写真①)やステンレス製の受水槽が設置されている場合がそれにあたり、「受水槽から各階専有部分の蛇口まで」が簡易専用水道となります。
なお、水道の水質管理責任の区分については、受水槽への給水までが水道局の管理責任となり、受水槽から各居住者の蛇口の水までがマンション管理組合やビルオーナーの責任となります。
また、簡易専用水道の設置者は、水道法第34の2第2項の定めによる年1回の法定検査を受け、清掃をして、適切な水質を維持し、異常があるときは、給水の停止や周知をおこなわなければいけません。
貯水槽の維持修繕について
維持修繕に関しても、国交省の長期修繕計画ガイドラインで受水槽の更新目安が25年前後とされていますが、その時期を待たずして、FRPパネルに亀裂が入ったり、塗装の劣化、底部からジワリ漏水が発生するケースもあります。
本ケースでは、貯水槽が更新の時期を迎えていましたが、予算の関係上、FRPパネルの亀裂部分に修繕を施したうえ、塗装仕上げをしました。
延命的な処置をおこないましたので、これから経過観察をしながら更新にむけて予算を確保していく必要があります。
直結給水方式について
受水槽交換の費用やメンテナンス費用の事を考えると、水道本管から直接マンションに給水し、増圧ポンプで各戸へ供給する方が良いという考え方があります。
低層階マンションの場合などは、水道本管の圧力だけで全戸供給できるようになる為、ポンプも不要となり、電気代も大幅に削減できます。
ただ貯水槽方式の方が、災害時の断水に備えることが出来るという面もあり、給水方式の変更については、メリットやデメリットを理事会でよく検討して、総会にはかるべき事項となります。
※上記の水槽修繕の時も、直結方式を検討しましたが、「災害対応可能にしたい」という意見が理事会の多数意見となり、貯水槽方式を継続することになりました。
尚、一部市町村によっては、直結給水方式が認められていなく、受水槽を設置し続けなければならないので、事前の下調べなども重要になります。
(関連条文)
水道法 ~抜粋~
第三十四条の二
簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準に従い、その水道を管理しなければならない。
2 簡易専用水道の設置者は、当該簡易専用水道の管理について、厚生労働省令の定めるところにより、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。